ローニー

トタン屋根 砂壁 朝の陽 寄りかかったのが 合図 と

 

知ってたように 草は 風がなく 前に 腰を 曲げている

 

谷を挟み 向こう側の 大木は 忙しく 手を振り

 

その根に立ち 眩しそうに 君は手を 招いては 笑う

 

吊り橋 だって 怖くない と 谷の向こうまで 行ける と

 

口しぼめ 歯を食いしばって 下を 見ないように 進む

 

ローニー

 

辿り着け ば 向こうから 見た 景色 とは 随分と 違う

 

緑は無く 空は くすみ 何か はやし 立てられるよう に

 

顔を真っ赤 にして 叫ぶ君は遠く 頬に 手を添え

 

その声 は つむじ風 が さらい 僕の目にしか 映らない

 

蟻 にも 聞こえぬほどの声 で 強く頷いて は

 

一目散 に 君 のトコへ 息を切らし 走り続ける

 

ローニー